毎年10月7日から9日の3日間、長崎の街を熱気で包む「長崎くんち」は、約400年の歴史を誇る秋の大祭です。
諏訪神社を中心に市内各所で奉納踊や豪華な出し物が繰り広げられ、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
2025年は、龍踊や川船、阿蘭陀万歳といった迫力満点・華やかな演し物を、6つの踊町が担当。
7年に一度しか巡ってこない当番制のため、今年しか見られない特別な演目も登場します。
本記事では、2025年のスケジュール・出し物と踊町一覧・観覧の見どころや楽しみ方を詳しく解説。旅行や観光の計画に役立つ情報をまとめています。
2025年の長崎くんちを存分に楽しむために、ぜひ最後までご覧ください。
長崎くんち2025の基本情報・アクセス
長崎くんち2025の基本情報とアクセス方法をまとめました。
約400年の伝統を誇るこの祭りは、毎年10月7日から9日の3日間にわたり、諏訪神社を中心に長崎市内各所で開催されます。
奉納踊や出し物を間近で楽しめる庭先回りや、有料観覧席でじっくり鑑賞できる会場など、楽しみ方はさまざまです。
ここでは、開催日時・場所・観覧方法に加え、車や公共交通機関でのアクセス手段についても分かりやすくご紹介します。
お出かけの前にチェックして、快適に祭りを満喫してくださいね。
長崎くんち開催日時・場所
- 開催日時:2025年10月7日(火)~9日(木)
- 開催場所:諏訪神社・お旅所・八坂神社・中央公園(平成29年より長崎市公会堂前広場観覧場に代替場)
主要の踊場4ヶ所。ほか長崎市内中心部。 - 人出人数:約50万人
- 有料観覧席・入場料:有料観覧席あり(チケット制)一般観覧無料エリアあり。
長崎くんちのアクセス
奉納踊のメイン会場は諏訪神社をはじめ、お旅所・八坂神社・中央公園の4か所です。
いずれも市内中心部に位置しており、路面電車やバスでアクセスしやすいのが魅力です。
特に夕方から夜にかけての演し物はライトアップが行われるため、美しい反面、人出も多くなります。
混雑を避けるためには、事前に帰りの交通手段や移動ルートを確認しておくと安心です。
また、これらの会場は徒歩で巡れる範囲にあるので、地図を参考に効率よく回れるよう観覧ルートを組み立てておくのもおすすめですよ。
長崎くんちはどんな祭り?
長崎くんちは、長崎の秋を代表する伝統的なお祭りで、毎年10月7日から9日にかけて開催されます。
舞台は諏訪神社をはじめ、長崎市内各所。約400年もの歴史を持ち、国の重要無形民俗文化財に指定されている格式高い行事です。
【長崎くんち2025|諏訪町】天かける青白龍 139年伝統の龍踊 大技“棒交代”https://t.co/G91xpvTmFi#長崎ニュース #長崎
— 長崎ニュース!NBC報道制作部(公式) (@nbc_nagasaki) September 30, 2025
長崎くんちの由来と歴史
長崎くんちは、今からおよそ400年前の1634年(寛永11年)に始まったと伝えられる長崎を代表する秋のお祭りです。
もともとは諏訪神社への奉納踊がきっかけで、遊女の高尾と音羽という二人の女性が「小舞(こまい)」という舞を捧げたのがはじまりといわれています。
当時の遊女は、今のイメージとは少し違っていて、舞や謡曲などの芸能に長けた女性たちでした。
教養もあり、異国から来る商人とも交流できる存在で、芸能を通して長崎の文化を支えていたのです。
その二人が披露した「小舞」は、能の詞章を取り入れた上品な舞で、ただの踊りではなく芸術性の高い奉納でした。
ここから、長崎くんちは「娯楽」だけでなく「文化」としての意味を持つお祭りとして育っていきます。
また、江戸時代の長崎は国際貿易の玄関口。
オランダや中国など外国文化の影響を大きく受けていたため、祭りの出し物もとてもユニークです。
龍が舞う「龍踊(じゃおどり)」、大きな船をかたどった「川船(かわぶね)」、そして異国情緒あふれる「阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)」など、ほかの土地では見られない演目が楽しめます。
こうして誕生した長崎くんちは、時代を超えて受け継がれ、今では長崎の秋を彩る一大イベントに。
歴史を知ってから訪れると、演し物一つひとつに込められた意味や魅力をより深く味わえるでしょう。
長崎くんちはどんな祭り?
最大の特徴は「踊町(おどりちょう)」と呼ばれる町ごとの持ち回り制。
長崎市内に58町あり、毎年7町前後が当番となり、それぞれの演し物を奉納します。
つまり、一つの町の演し物を再び観るには7年待たなければならないのです。
この“特別感”が、観光客にとっても大きな魅力となっています。
さらに「庭先回り」という風習もユニーク。これは踊町が市街地を練り歩き、民家や商店の前で演し物を披露するもの。
偶然通りかかった観光客でも、間近で祭りの熱気を体感できる貴重な機会です。
長崎の町そのものが舞台となり、地域全体が一体となって盛り上がるのが、長崎くんちの真髄といえるでしょう。
長崎くんちの見どころ
長崎くんちの魅力・見どころは、何といっても迫力ある「演し物(だしもの)」です。
各町が披露する出し物には、力強さ・華やかさ・歴史的背景が込められており、観客を惹きつけてやみません。
龍踊(じゃおどり)
長崎くんちの象徴的存在。
鐘や太鼓の音に合わせ、全長十数メートルの龍が躍動します。
龍を操る「根曳(ねびき)」たちの息の合った動きは圧巻で、龍が生きているかのような迫力を生み出します。
阿蘭陀万歳(おらんだまんざい)
新橋町が奉納する演目。
撮れた!
栄町の阿蘭陀万歳!!
めっちゃ距離あったけど、どちらの組も撮れた。
阿蘭陀万歳はお化粧や南蛮衣装、コミカルな動きが良い。
栄町の庭先回り、今日は8日に回れなかった約1000軒(!?)を回るらしい。#長崎くんち2023 pic.twitter.com/21juN7A6KD— 翠影 (@evergreen_0934) October 10, 2023
オランダとの交流があった長崎ならではの芸能で、鮮やかな衣装とユーモラスな掛け合いが観客の笑いを誘います。
国際都市・長崎の歴史を感じられる出し物です。
川船(かわぶね)
榎津町の代表演目。
長崎くんち踊町紹介【榎津町・川船】車輪と軸が木の川船は唯一無二。さらに現存する川船で最古。そんな川船を曳き回す根曳たちの高速回転に注目です!網打船頭さんも良い仕上がり具合です^^ pic.twitter.com/b81rouwjyp
— 大倉さとし 長崎県議会議員 無所属 (@satomaru1233) August 23, 2025
精巧に作られた船型の曳物が、音楽とともに街を進む姿はまるで絵巻物。
中でも「船回し」と呼ばれる大技は迫力満点で、観客から大きな拍手が沸き起こります。
大漁万祝恵美須船
賑町が奉納する華やかな船の演し物。
賑町の大漁万祝恵美須船
がんばれガンバレ! #長崎くんち
(長崎を離れて久しい方へ
正面は市民会館、右の光輝く建物は新しい市役所。
ここは元公会堂前交差点です。#長崎 #長崎通信 pic.twitter.com/oRAtXBgATz— ko (@ko_viv) September 2, 2025
大漁旗をはためかせて進み、海の恵みや商売繁盛を願います。
にぎやかさと祝祭感に包まれる一幕です。
本踊・詩舞・櫓太鼓
踊りや舞も大きな見どころです。
扇子を手に舞う詩舞や、町ごとの特色ある日本舞踊の本踊。
さらには巨大な櫓の上で太鼓を打ち鳴らす櫓太鼓など、静と動のバランスがとれた演目が揃っています。
観客からは「モッテコーイ!(もう一度!)」や「ヨイヤァ!(感動した!)」といった掛け声が飛び交い、会場全体が熱気に包まれるのも、この祭りならではの光景です。
長崎くんちのスケジュール
2025年の開催スケジュールは以下の通りです。
日程 | 開催時間 | 主な内容 |
---|---|---|
1日目(10/7・お下り) | 7:00~20:10 | 奉納踊が市内各所へ巡行 |
2日目(10/8・中日) | 7:00~11:00 | 八坂神社・中央公園で奉納踊 |
3日目(10/9・お上り) | 7:00~11:20 | 諏訪神社へ戻る奉納踊 |
奉納踊は諏訪神社・お旅所・八坂神社・中央公園を中心に行われます。
特に初日の朝と最終日の「お上り」は見逃せません。
加えて、市街地で行われる「庭先回り」も必見です。
民家や商店前で披露されるため、観客が演者と近い距離で触れ合えるのが魅力。
演目の迫力を至近距離で味わえる貴重な機会です。
なお、奉納踊は屋外で行われるため、天候次第で時間や日程が変更されることもあります。
観覧を計画する際は、公式サイトや現地の最新情報を必ず確認するようにしましょう。
長崎くんち2025出し物・踊り町一覧
2025年の長崎くんちには、6つの踊町が出演し、それぞれ個性豊かな出し物を披露します。
例年は7町が担当しますが、今年は金屋町が不参加のため、6町での構成となります。
いずれの町も、祭りのシンボルである「傘鉾(かさぼこ)」を先頭に登場します。
踊町 | 出し物 | 特徴・見どころ |
---|---|---|
西古川町 | 傘鉾・櫓太鼓・本踊 | 高台のやぐらで力強く打ち鳴らされる太鼓は迫力満点。伝統的な本踊では、その町に伝わる舞踊が披露されます。 |
新大工町 | 傘鉾・詩舞・曳壇尻 | 優雅な舞である詩舞に加え、船を模した曳物「曳壇尻」を力強く曳き回す演出が見どころ。観客を圧倒する迫力です。 |
諏訪町 | 傘鉾・龍踊(青龍・白龍) | 長崎くんちの代名詞ともいえる演目。大きな龍を根曳(ねびき)が操り、勇壮に舞い踊る姿は圧巻。鐘や太鼓と一体となった演出が魅力です。 |
榎津町 | 傘鉾・川船 | 港町長崎らしい演目で、美しく装飾された船が町を練り歩きます。豪快な「船回し」は観客を魅了します。 |
賑町 | 傘鉾・大漁万祝恵須船 | 五穀豊穣や商売繁盛、大漁を祈願した華やかな演目。色とりどりの大漁旗をなびかせながら進む姿は圧巻です。 |
新橋町 | 傘鉾・本踊・阿蘭陀万歳 | ヨーロッパ文化の影響を色濃く受けたユーモラスな「阿蘭陀万歳」が見どころ。親しみやすい本踊と組み合わせて奉納されます。 |
各出し物の魅力
-
櫓太鼓(やぐらだいこ) … 高台で太鼓を打ち鳴らす豪快な演目。観客の心に響くリズムが特徴です。
-
本踊(ほんおどり) … 踊町ごとに受け継がれる日本舞踊。衣装や振付にその町の個性が表れます。
-
詩舞(しぶ) … 詩吟に合わせて舞う、気品ある優雅な舞。扇子を使った所作が美しいです。
-
曳壇尻(ひきだんじり) … 船をかたどった山車を力強く曳き回す演目。動きの迫力が観客を魅了します。
-
龍踊(じゃおどり) … 長崎くんちを代表する名物。龍が舞い上がるような演出に圧倒されます。
-
川船(かわぶね) … 港町を象徴する優雅な演目。船を回転させる「船回し」が最大の見せ場。
-
大漁万祝恵須船(たいりょうまいいわいえびすぶね) … 海の恵みと感謝を表すにぎやかな船の演目。地域の祈りが込められています。
-
阿蘭陀万歳(おらんだまんざい) … 異国情緒あふれる踊りで、コミカルな動きと華やかな衣装が人気。
2025年は、例年より1町少ない6つの踊町ですが、それぞれの演し物は個性豊かで見応え十分です。
今年しか見られない組み合わせなので、ぜひチェックしておきたいですね。
長崎くんち2025奉納踊スケジュールと出し物一覧
長崎くんちは、3日間にわたり「お下り(初日)」「中日」「お上り(最終日)」の順で行われます。
諏訪神社をはじめ、お旅所・八坂神社・中央公園といった会場で奉納踊が披露され、市街地では「庭先回り」も同時に展開されます。
1日目:10月7日(火)〈お下り〉
踊町 | 演し物 | 主な会場 | 時刻 |
---|---|---|---|
新橋町 | 傘鉾・本踊・阿蘭陀万歳 | 諏訪神社 | 7:00 |
諏訪町 | 傘鉾・龍踊(青龍・白龍) | 諏訪神社 | 7:30 |
新橋町 | 同上 | 中央公園 | 8:10 |
諏訪町 | 同上 | 中央公園 | 8:40 |
新橋町 | 同上 | お旅所 | 9:10 |
諏訪町 | 同上 | お旅所 | 9:40 |
両町 | 終了予定 | 10:10前後 | |
午後の部 | 各町再演 | 諏訪神社・中央公園 | 16:00以降 |
※夜間はライトアップあり。幻想的な雰囲気で人気。
2日目:10月8日(水)〈中日〉
踊町 | 演し物 | 主な会場 | 時刻 |
---|---|---|---|
西古川町 | 傘鉾・櫓太鼓・本踊 | 八坂神社 | 7:00 |
賑町 | 傘鉾・大漁万祝恵須船 | 八坂神社 | 7:30 |
新大工町 | 傘鉾・詩舞・曳壇尻 | 八坂神社 | 8:00 |
諏訪町 | 傘鉾・龍踊 | 八坂神社 | 8:30 |
新橋町 | 傘鉾・本踊・阿蘭陀万歳 | 八坂神社 | 9:00 |
榎津町 | 傘鉾・川船 | 八坂神社 | 9:30 |
※同時刻に中央公園でも各町が順次披露。午前11時頃終了予定。
3日目:10月9日(木)〈お上り〉
踊町 | 演し物 | 主な会場 | 時刻 |
---|---|---|---|
榎津町 | 傘鉾・川船 | お旅所 | 7:00 |
新橋町 | 傘鉾・本踊・阿蘭陀万歳 | お旅所 | 7:30 |
諏訪町 | 傘鉾・龍踊 | お旅所 | 8:00 |
西古川町 | 傘鉾・櫓太鼓・本踊 | お旅所 | 8:30 |
賑町 | 傘鉾・大漁万祝恵須船 | お旅所 | 9:00 |
新大工町 | 傘鉾・詩舞・曳壇尻 | お旅所 | 9:30 |
各町 | 順次奉納 | 諏訪神社 | 8:20〜11:20 |
※最終日は「お上り」と呼ばれ、諏訪神社に戻って奉納。
祭りのクライマックスです。
長崎くんち2025の観覧のコツ
長崎くんちは人気の祭りなので、ただ行くだけでは混雑に巻き込まれたり、演し物を見逃してしまうことも。
ここでは、観覧をもっと楽しむための工夫をご紹介します。
有料観覧席でじっくり楽しむ
演し物を確実に、そして落ち着いて楽しみたいなら有料観覧席がおすすめです。
会場 | 席種 | 料金目安 |
---|---|---|
諏訪神社 | 立見席 | 1,500円(当日販売) |
諏訪神社・お旅所・八坂神社・中央公園 | 升席・観覧席 | 18,000円~36,000円(前売り制) |
-
有料席は舞台正面で観覧できるため、演者の表情や演出の細部までしっかり見られます。
-
初日の夜や最終日の「お上り」など、混雑必至のタイミングに利用するのが特におすすめです。
-
チケットは早めの購入必須。例年すぐに完売します。
庭先回りで「町ぐるみ」の雰囲気を味わう
「庭先回り」とは、踊町が奉納踊を市内の商店や民家の前でも披露して回る習慣のこと。
-
路上や店先で突然始まる演し物は、近い距離で見られるのが最大の魅力。
-
観光客でも偶然出会えることがあり、運が良ければ大迫力の演目を至近距離で楽しめます。
-
無料で観覧できるので、街歩きをしながら気軽に参加できるのも嬉しいポイントです。
お祭りをもっと楽しむ工夫
-
縁起物「まきもの」をキャッチ!
奉納踊の合間に手ぬぐいやお菓子が客席に撒かれることがあります。ゲットできればラッキー! -
掛け声で一体感を味わう
「モッテコーイ!(アンコール!)」「ヨイヤァ!(よくやった!)」などの掛け声は、観客が一体となって祭りを盛り上げる合図。ぜひ声を合わせてみましょう。 -
屋台やグルメも堪能
長崎名物の角煮まんじゅうや中華街グルメの屋台が並び、食べ歩きも楽しめます。
\屋台についてはこちらもチェック!/

まとめ
長崎くんち2025は、400年近い歴史を誇る長崎の秋の一大イベントです。
今年は西古川町・新大工町・諏訪町・榎津町・賑町・新橋町の6つの踊町が出演し、龍踊や川船、阿蘭陀万歳など迫力と華やかさあふれる出し物を披露します。
奉納踊のスケジュールは、10月7日から9日までの3日間。諏訪神社やお旅所、八坂神社、中央公園を舞台に、早朝から夕方まで街全体が熱気に包まれます。
観覧方法は、有料観覧席でじっくり楽しむスタイルもあれば、無料の「庭先回り」で間近に触れられる方法もあり、それぞれに魅力があります。
2025年しか見られない演目も多いため、この機会を逃すと次は7年後。歴史と異国文化が融合した特別な祭りを、ぜひ体感してみてください。